〜第21夜〜
「心霊スポット」
俺は友人と一緒に近くにある心霊スポットに行くことにした。
そこは有名な心霊スポットでよく”出る”と評判だった。
さて、行くかと二人が車に乗り込んだ時に雨が降り出した。
友人は「いいねいいねー雰囲気でてるじゃん」とふざけていたが
正直、俺は帰りたかった。
車道を走り、数分でその場所へついた。
俺と友人はその心霊スポットであるトンネルへはいった。
しばらく中を探索しても幽霊なんていやしない。
相変わらず、ザーザーと振っている雨に俺の気はすっかり滅入ってしまった。
「結局何もでなかったじゃないか。もう帰ろうぜ」
ため息混じりに口から出た言葉を友人にぶつけたら
友人はさっきからずっとブルブルと震えていた。
「何か起きたのか?何か見えたのか?」
友人は何も答えないので、仕方なく帰路についた。
帰り際友人は一言。
「お前は何も気づかなかったのか?」
〜第22夜〜
「パーティー」
ある資産家が自分の誕生日に、ホームパーティを開いた。
パーティーは非常に盛り上がり、男はとても楽しい思いをした。
最後に、家の中で皆の写真を撮ろうということになった。
すると変なものが映っていた。
背後の窓から見知らぬ青白い顔の女が顔を出して、睨みつけている。
これはやべいと思い、霊能者に写真を鑑定してもらった。
しかし、「この写真からは霊気を感じない。心霊写真でも何でもないよ」と
言ってくれた。
男は、ホッと一安心した。
〜第23夜〜
「ビデオカメラに写っていたものは」
一人暮らしをしている大学生の男がいた。
男が住んでいるのはごく普通のアパートだが、たまにおかしなことが起こった。
大学から帰ってくるとカーテンの形やゴミ箱の位置などが微妙に変わっている
気がするのだ。
最近では誰かにつけられてる様な気もしてきた。
流石に気味が悪くなってきた男は大学の友人に相談した。
「もしかして…ストーカーかな?警察に言うのが一番良いと思うけど…
警察は実際に被害が無いと動いてくれないって聞くしなぁ…どうしよ……」
と困っていると、友人は
「…じゃあ大学に行ってる間ビデオカメラで部屋を撮影しておいて、
もしストーカーが部屋に侵入してるのが撮れたらそのテープもって警察に
行けば良いじゃん、不法侵入してるわけだからさすがに警察も動いてくれるだろ」
と具体的な解決策を提示してくれた、やはり持つべきは友!これは良い案だ!
と思った男は早速次の日の朝、部屋にビデオカメラを設置して
録画状態のまま大学へ行った。
大学から帰ってきた男は焦った、久々に部屋に違和感がある!
「これは期待出来る、マジにストーカー写ってるかも…」
と思いながらビデオの録画を止め、再生した。
しばらくは何も写らなかった。
しかし夕方になると、知らない女が包丁を持って部屋に入ってきたのだ。
「…!!!!!!」ビビった男はすぐに友人に電話をかけた。
「ヤッベー!写ってる写ってるストーカー写ってる!!!!」と若干興奮気味に伝え、
それからは録画を見ながら友人に内容を実況した。
「ゴミ箱漁ってるよぉ…」「今度は服の匂い嗅いでる…キメェ!!」
今までコイツは何回も来ていたのかと思うと 男は背筋が凍る思いだった。
「これで警察も動いてくれるなぁ」と少しホッとしてると、
画面の中の女は押入れに入った。
「うっわ…押し入れの中入ったよ、しかもなかなか出てこない……」
などと友人と喋っていると、また誰かが部屋に入ってきた。
男は言葉を詰まらせた。
部屋に入って来たのは自分だった。
そしてビデオの中の自分はカメラに近付き録画を止める。
そこでビデオは終わっていた。
〜第24夜〜
「残念ながら娘さんは…」
ある病院に残り三ヶ月の命と診断されている女の子がいました。
友達が二人お見舞いに来た時に、その子のお母さんはまだその子の体が
ベットの上で起こせるうちに最後に写真を撮ろうとおもい、
病気の子を真ん中にして三人の写真を撮りました。
結局それから一週間ほどで急に容体が悪くなり、三ヶ月ともたずに
その子はなくなってしまいました。
葬式も終わり、多少落ち着きを取り戻したお母さんはある日、
病院で撮った写真の事を思い出しました。
それを現像に出し取りにいって見てみると、その写真が見つかりません。
写真屋さんに聞いてみると、「いや、現像に失敗して…というそうです。
不審に思ったお母さんは娘の生前の最後の写真だからとしつこく
写真屋さんに迫ったそうです。
写真屋さんもしぶしぶ写真をとりだし、「見ない方がいいと思いますけれど、
驚かないで下さいね。」と写真を見せてくれました。
そこには、三人の女の子が写ってましたが、真ん中の亡くなった女の子だけが
ミイラのような状態で写っていたそうです。
それを見たお母さんはとても驚きましたが、供養して
もらうといい写真を持ち帰りました。
それにしても恐ろしい写真だったため霊能者のところに供養してもらう時に
これは何かを暗示してしているのではないかとたずねました。
すると、霊能者は言いたがりません。
やはり無理に頼み込んで話を聞ける事になりました。
その霊能者が言うには、
「残念ながら…あなたの娘さんは地獄に落ちました」
〜第25夜〜
「パズル」
やっぱパズルっていいよね!
最近一人暮らしするようになって、
部屋のインテリアとして、パズルを飾ることにしたんだよ。
光を浴びて、暗くなると光るってやつで、その光が儚くていいんだよね。
この前も夜帰ってきたら、そのパズルが暗い室内で淡く光っててさ、
なんか出迎えてくれているようで癒されたんだよ。
またパズルやりたくなってきたし、
今度は同じサイズで2000ピースのやつ買ってみるかな。
〜第26夜〜
「騒がしい住人」
仕事から帰り、風呂上がりのビールを飲んでいるとき、今日も上の階の
子供達が騒いでいる。
引っ越してきてから毎日だ…。
下の階にも聞こえる声と足音は尋常じゃない。
親はどういうしつけをしているんだ。
何度も注意しに行こうとしたが、妻がその度に私をとめる。
「いつか私達に子供ができたら、きっと元気一杯よ。
世の中お互い様だわ。」
と、先月結婚したばかりの妻。
彼女は大学時代から付き合いはじめ、8年目でゴールイン。
いつも人のことを気づかい、とても優しい自慢の妻だ。
かく言う私も最近昇進が決まった。
それらを機に買ったこのマンション。
妻がどうしてもここが良いと言うのだ。
新築で広さは4LDKで最上階。
見晴らしも良く、子供が生まれても十分だ。
実はこのマンション、3年前の建築開始当初から私も目をつけていた。
どうせ住むなら特快の停まる駅徒歩3分のうえ、
周りには公園やショッピングモールがある。
建築会社が願掛けを重視するのか、何度も神主さんを呼んでお祓いの儀式みたいな事を
しているのを見たことがある。
それだけしっかりした建築会社なら安心だ。
偶然のごとくこのマンションの情報を彼女に見せた時のあの嬉しそうな顔…。
彼女がこんなにも喜ぶとは思わなかった。
上の階の住人の件以外平和に暮らせている今、このマンションにとても感謝している。
〜第27夜〜
「逆探知」
ある女性がストーカー被害に遭っていた。
毎日毎日無言電話がかかってきている。
耐えられなくなった彼女は警察に通報し、
家の電話に逆探知機を仕掛けてもらうことにした。
その日も、電話がかかってきた。
彼女は警察にすぐに逆探知を頼み、電話に出てみた。
警察が守ってくれているということもあり、
彼女は相手に激しく言い寄った。
すると、突然電話から笑い声が聞こえてきた。
ひるまず彼女が強気の姿勢のままでいると、
警察から借りた無線機から応答がきた。
無線機の向こうでは警官がやけに焦っている。
「逆探知の結果が出ました!
今すぐ逃げてください!!
犯人はあなたの家の二階から電話を掛けています!!!」
〜第28夜〜
「肖像画」
ある日僕は学校の美術室の掃除当番だった。
早く終わらせて帰ろうと思い急いでいたら
一枚の絵が大事そうに飾られているのを見つけた。
その絵はとても綺麗な女の人の肖像画だったが、
少し不気味で目に特徴があった。
とても大きな瞳でこっちをみている気がした。
なんだか怖くなり急いで掃除を終わらせ帰った。
次の日学校は大騒ぎになっていた。
例の美術室の絵が盗まれたのだ。
最後に絵を見たということで僕は美術の先生にいろいろ聞かれた。
「なるほど掃除をしてた時にはちゃんとあったんだね」
「間違いないです、あの絵は高価なものなんですか?」
「あれは『眠りに落ちた美女』といって私の知人の画家が自分の娘
の寝顔を見て描いたものなんだ、特に価値はない。
もっとも画家も娘ももうこの世にいないけどね」
「そうなんですか・・・」
あの絵は結局見つからなかった。
不思議なことに泥棒が入った痕跡はなかったらしい。
〜第29夜〜
「工事事故」
外で散歩をしていたら、「キャー!」という女性の悲鳴が聞こえた。
私は驚いて行ってみると道路で女性が、縦2m・横2m・厚さ50cm程の
鉄板らしき物の前に座りこんでいた。
その女性に話を聞こうとしたが、ビックリしたのか話せない。
すぐに作業服を着た人が来て訳を話してくれた。
どうやらビルの上で工事をしている時に鉄板を落としてしまったという。
幸い怪我人は出なく、女性は驚いて腰が抜けてしまっただけらしい。
それにしても赤いタイルの上に真っ黒の鉄板とは不気味である。
散歩も飽きて夕陽が暮れる前に、もう一度その場所に寄ってみた。
その鉄板らしき物はまだ残っていた。
とても重いので処理ができてないのだろう。
危ないからか、近づけないようにと警備員のような人がいた。
先ほどの女性もいた。そこで声をかけてみた。
「先ほどは驚かれたことでしょうね」
女性は
「驚きました。悲鳴を聞いたときはビックリしました」
と返してくれた。
〜第30夜〜
「テレビ番組」
家から帰って来て何気なくテレビをつけたら、この時期恒例の心霊スポットツアー
みたいな番組がやってた。
番組ではロケバスから降りてちょうどこれから芸能人達が心霊スポットに
行こうというところだっが、テレビの端っこにあるロケバスの中に全く動かない
髪の長い女性が映っていてちょっと違和感を感じた。
みんな外に出てるしスタッフかなとも思ったけどあまりに動かないし、
長い髪が影になってて表情もわからず気味が悪かった。
これは視聴者を怖がらせる新手の手法だなと思ったのと同時に拍子抜けして
まあ風呂でも入るかと思ってテレビを消したんだが、
なぜかその女性だけ消えずに映ったままだった。
ヒント
第21夜
彼らが行った心霊スポットってトンネルですよね?
第22夜
では、写真に写っていた女性は…?
第25夜
夜に帰ってきて、暗い室内で淡く光っているということは…
第26夜
このマンションの構造をもう一度考えてみてください。
第28夜
絵は少女のどんな状態で描かれたものでしたっけ?
第29夜
確かに怪我人はいないですね。怪我人は…